東京西地区大学図書館相互協力連絡会 2003年度研修セミナー
     
テーマ:「e-Learning時代の大学図書館」
0.トップ 1.セミナー主旨・
 プログラム
2.講演内容・
 資料
3.申込状況・
 参加状況
4.アンケート結果 5.スタッフ・
 準備活動
     
セミナー主旨:
 近年、e-Learningという言葉を私たちは様々なシーンで耳にするようになりました。
その定義についてはさまざまな解釈がありますが、広くは「ITを活用した教育手法」と
いえます。教育は長い間、教室における対面教育が主流でした。
しかしインターネットの出現、ITの進歩により、場所や時間を必ずしも共有しなくとも
行える教育も実現しつつあります。e-Leaningの有効性については、議論の余地が
まだ多く残っています。しかし、それでも少しずつ、高等教育に浸透しつつあるのが
現状といえるでしょう。

 このような新しい教育手法が導入される中、大学図書館は現状のままで良いので
あろうかという疑問は誰もが抱くところです。大学図書館はこれまで通り、
やって来る人にだけサービスを行えばいいのかもしれません。それともネットワークの
先にいる人たちも利用者としてとらえ、サービスを提供することも必要という考え方も
あります。さらには大学図書館の果たすべき役割が変わり、これまでとは全く違う仕事も
請け負うことになるのかもしれません。

 このように、e-Learningは現在進行形であり、大学図書館がどのような影響を
受けるのか、どう変わっていくのかはまだ答えは出ていません。そこで本セミナーは、
e-Learningに造詣の深い3名の方を講師にお招きし、『e-Learning時代の大学図書館』という
テーマに基づいて、私たちの未来への示唆を与えていただくことを目的といたしました。

 セミナーでは、まず吉田文先生(メディア教育開発センター教授)に、e-Learningの概略を
図書館サービスとも関連させながら、ご講演いただきました。次にニ村健先生(明星大学
人文学部教授)に、新しいサービスに図書館が取り組んだ実例として、Teaching Libraryと
遠隔学習サービスを中心にご講演いただきました。そして最後に和田幸一先生(慶應義塾
大学湘南藤沢メディアセンター)に、図書館現場でe-Learningに実際に関わっている事例を
中心にご講演いただきました。

 本セミナーをもって、大学図書館がe-Learningの影響をどのように受けるかということ
について、明確な提言を得ることはできませんでした。しかし、3つの講演を通してわかった
ことは、『図書館は大きな転換期にきている』ということです。図書館は独自のIT化を推進
させてきました。しかし1990年代のインターネットの普及により、図書館外とのIT化との融合が
求められるようになりました。それにより、図書館機能というものも、必要なもの・不要なもの
とに見直すことが、求められているようです。そしてただ不要なものを削るだけでなく、新しい
ニーズに対して機能を拡大していく機会でもあります。歴史的にみて、遠隔学習サービスや
Teaching Libraryなど、新しいサービスを創造したのと同じように、今のe-Learningを
ビジネスチャンスと捉えることができます。このビジネスチャンスをどう活かすか、それは
セミナーに参加された方々の次のアクションに委ねられているといえるでしょう。

 本セミナーが、新しい図書館サービス創造のきっかけになれば、幸いです。


※本研修セミナーは、西地区加盟館以外の方にもご参加いただきました。
   
プログラム:
13:00-    受付開始
13:30-13:45    開会宣言
開会挨拶 人見 剛氏(東京都立大学付属図書館長)
13:45-14:35    講演『e-Learningのインパクト:書籍と図書館を中心として』
 吉田 文 氏(文部科学省メディア教育開発センター教授)
14:35-14:45 休 憩
14:45-15:35    講演『変容する図書館サービスとその役割
    ―遠隔学習サービスとTeaching Libraryについて―』
 二村 健 氏(明星大学人文学部教授)
15:35-15:50    休 憩
15:50-16:45    講演『e-Learningに関連した図書館の試み』
 和田 幸一氏(慶応義塾大学湘南藤沢メディアセンター)
16:45-17:00    質疑応答
総括
閉会挨拶 長野由紀氏(国際基督教大学図書館長)
17:15-18:15    Tea Party
 
講師紹介:
  吉田 文 氏 (文部科学省メディア教育開発センター教授)
  1989年に東京大学大学院教育学研究科博士課程(教育社会学)を修了。放送教育開発センター助教授を経て、現在、文部科学省メディア教育開発センター教授。主な著書は、『FDが大学教育を変える』(文洋社)、『教養教育の系譜』(訳書、玉川大学出版部)、『アメリカ高等教育におけるeラーニング 日本への教訓』(東京電機大学出版局)など。
  
  二村 健 氏 (明星大学人文学部教授)
  図書館情報大学大学院図書館情報学研究科修了。九州大谷短期大学などを歴任後、1997年から明星大学人文学部教員となり、現在同学部教授、同大学副図書館長。最近の論文は「遠隔学習メディアとしての電子図書館」「米国図書館界における遠隔学習と図書館サービスの歴史的考察」「遠隔学習者を支援する図書館サービス」など多数。
 
  和田 幸一氏 (慶応義塾大学湘南藤沢メディアセンター)
  1985年に慶應義塾大学文学部図書館・情報学科卒業と同時に慶應義塾に就職。各地区のメディアセンターに勤務し、パブリックとテクニカルの図書館業務を経験。湘南藤沢メディアセンターには2002年6月に赴任。2003年6月からマルチメディアサービス担当となり、e-Learningに関わる。
         

Copyright 2003. Tower ALC. All Rights Reserved.