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2003年度研修セミナー(2003.10.17) [ 2008-11-19 15:26:10 ]

テーマ:「e-Learning時代の大学図書館」

会場:東京都立大学国際交流会館
■下記講演会の内容は右記URL→https://tnishi.gr.jp/ASAHI/kiroku/seminar2003/02.html
開会挨拶 人見 剛氏(東京都立大学付属図書館長)
1) 『e-Learningのインパクト:書籍と図書館を中心として』
   吉田 文 氏(文部科学省メディア教育開発センター教授)
2) 『変容する図書館サービスとその役割―遠隔学習サービスとTeaching Libraryについて―』
   二村 健 氏(明星大学人文学部教授)
3) 『e-Learningに関連した図書館の試み』
   和田 幸一氏(慶応義塾大学湘南藤沢メディアセンター)
質疑応答
閉会挨拶 長野由紀氏(国際基督教大学図書館長)
■セミナーの趣旨
 近年、e-Learningという言葉を私たちは様々なシーンで耳にするようになりました。その定義についてはさまざまな解釈がありますが、広くは「ITを活用した教育手法」といえます。教育は長い間、教室における対面教育が主流でした。しかしインターネットの出現、ITの進歩により、場所や時間を必ずしも共有しなくとも行える教育も実現しつつあります。e-Leaningの有効性については、議論の余地がまだ多く残っています。しかし、それでも少しずつ、高等教育に浸透しつつあるのが現状といえるでしょう。
 このような新しい教育手法が導入される中、大学図書館は現状のままで良いのであろうかという疑問は誰もが抱くところです。大学図書館はこれまで通り、やって来る人にだけサービスを行えばいいのかもしれません。それともネットワークの先にいる人たちも利用者としてとらえ、サービスを提供することも必要という考え方もあります。さらには大学図書館の果たすべき役割が変わり、これまでとは全く違う仕事も請け負うことになるのかもしれません。
 このように、e-Learningは現在進行形であり、大学図書館がどのような影響を受けるのか、どう変わっていくのかはまだ答えは出ていません。そこで本セミナーは、e-Learningに造詣の深い3名の方を講師にお招きし、『e-Learning時代の大学図書館』というテーマに基づいて、私たちの未来への示唆を与えていただくことを目的といたしました。
 セミナーでは、まず吉田文先生(メディア教育開発センター教授)に、e-Learningの概略を図書館サービスとも関連させながら、ご講演いただきました。次にニ村健先生(明星大学人文学部教授)に、新しいサービスに図書館が取り組んだ実例として、Teaching Libraryと遠隔学習サービスを中心にご講演いただきました。そして最後に和田幸一先生(慶應義塾大学湘南藤沢メディアセンター)に、図書館現場でe-Learningに実際に関わっている事例を中心にご講演いただきました。
 本セミナーをもって、大学図書館がe-Learningの影響をどのように受けるかということについて、明確な提言を得ることはできませんでした。しかし、3つの講演を通してわかったことは、『図書館は大きな転換期にきている』ということです。図書館は独自のIT化を推進させてきました。しかし1990年代のインターネットの普及により、図書館外とのIT化との融合が求められるようになりました。それにより、図書館機能というものも、必要なもの・不要なものとに見直すことが、求められているようです。そしてただ不要なものを削るだけでなく、新しいニーズに対して機能を拡大していく機会でもあります。歴史的にみて、遠隔学習サービスやTeaching Libraryなど、新しいサービスを創造したのと同じように、今のe-Learningをビジネスチャンスと捉えることができます。このビジネスチャンスをどう活かすか、それはセミナーに参加された方々の次のアクションに委ねられているといえるでしょう。
 本セミナーが、新しい図書館サービス創造のきっかけになれば、幸いです。



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